「芸術村8日目」
テント客用に敷地内の草刈りを急遽やることになり、村のUさんにお願いすることとなった。
というのは、まだ、管理人の私は、草刈りの仕方がわからないのである。
午前9時頃、Uさんが見えられ草刈りを始めてくれた。
一方、長坂自動車教習所でお世話になった雲海寮の管理人Mさんも、見学にいらしてくださった。
「ほんと贅沢ですね~。」と自然を体感されて、芸術村から見える空や木々、山を眺めてゆっくりしていただいた。
空の様子は、長坂とは違うらしい。
ここに実際来てみると、長坂教習所からは15分というとても近い距離だそうだ。
私は彼に施設内紹介を一通りして、東屋や敷地内でじっくり静寂を楽しまれてから帰っていかれた。
草刈りが終わると、村の懇意にしている方4人と共に、東家で昼食パーティーをした。
1人、スーパーのオギノで助六を買ってきてくれて、それを我々芸術村スタッフ2人を含めて6人で食べたのである。
その間にもガス会社のミツウロコの営業Iさんも、ガス湯沸かし器と保安器を、厨房等と管理棟に付けに来て、1人で設置に格闘されていた。
我々6人は、東家で話に花が咲き、いろいろな話題で盛り上がって、気がつけば午後一時半。
日陰の東屋にも猛暑が襲ってくる。
村の4人は帰られて、今度は我々芸術村スタッフの2人は、クーラーを効かせたリクリエーション棟の八ヶ岳ハウスで油彩画を描くこととなった。
ここに来てからやっと、我々は筆を握って本業に着手できた訳である。
私は前回の途中まで描いた八ヶ岳の絵の続きに着手し、愛琥さんは芸術村近くの八ヶ岳フルーツ農園のビニールハウスの道の夕景を描いた。
1時間ばかりで、なかなか素晴らしい風景画を2人とも制作できた。
午後4時頃には、2人とも片付けまで済ませて、絵画制作を終えたのだった。
その作品と制作の様子をアイフォンのカメラで撮り、若神子村の生徒Rさんにメッセージで伝えた。
するとどうだろう。
10分もしないうちに電話が来て、30分もしないうちに大型バイクで芸術村へ駆けつけてきた。
彼は絵が好きで好きでたまらないのだ。
そしてRさんの講評のスタート。
生徒のRさんは元々絵画コレクターで、絵の見方や知識についてはプロの引けを取らない。
直感的に思ったこともズバズバと言うし、理論的に考えたことも次から次へと言ってくる。
彼は生徒でありながら、我々プロと同じ目を持っていて、プロの我々も大変叱咤激励していただける鑑賞者なのである。
最近絵画制作を始めた彼自身の、表現者としてぶつかっている課題を交えて、我々に熱いメッセージを伝えてくれる。
課題の答えを私なりにアドバイスしてあげると、彼は合点のいく表情でとても納得された。
彼は、電子タバコを2本ほどくゆらせ終わると、派手な大型バイクに跨り、颯爽と帰っていった。
今日もひっきりなしに来客が続き、あっという間に1日経ってもう夕飯時となってしまった。
さあ、明日は愛琥さんの両親がお客様として来る。
夕飯を終えると、期待と不安を胸に、深夜までの仮眠を取った。