「朝のカラスはいつかの自分」
深夜2時に起きてiPadに向き合うも、「ウー。」も「スー。」もなんの一文字も出てこない。
ああ、参ったなあ。
いつも熱烈にエッセイを書いているのに、今日に限って何にも書けない。
いつまで経っても、キーボードに走らす指から適当な文字が一向に浮き上がらない。
ワンフレーズ書いては違うと消し、違うと消してはまた書いて。
その繰り返し。
そんな日もある。
そうか、日頃の仕事で少し疲れているのだな。
そう思い3時間追加して寝て、起きると朝5時。
頭の疲れが取れて、辛いだけの漠然とした気分は、少しどこかに消えた。
珈琲を新しく淹れ直し、雨戸を開けて、窓を全開にする。
気分転換、気分転換。
頭に風を送らなきゃな。
窓を開け放ったら、部屋に貼り込めていた悪い瘴気が消えていったようだ。
窓の外では、曇天模様の空の下、はぐれカラスがヤケクソに鳴いている。
どうしたものか、あの鳥は。
まるで自分のいつかのこころ模様だ。
少し湿ってひんやりした空気が、窓の外からリビングに流れてくる。
うん、やっと創作のエンジンがかかり出した。
こんな感じのスロースタートな日もなかなか良い。
っていうか、私はいつも急ピッチに何でもできてしまうから、これくらいの遅いペースが普通なのだろうけどね。
この世界ではインスタントに何でもできた方が便利で融通が効くが、何にもすぐにできない不便な感覚が素朴な人間本来のものなんだろうな。