作品「CROSS」
作家近影
「分からないものを分かろうとする心」
「わけがわかんねえ!」
そう叫びたくなるものこそ愛してげよう。
自分の理解を超えたもの。
全くもって自分じゃ分からない。
そういうものこそ貴重なのだ。
理解不能なものを、分かろう、分かろう、とにじり寄っていく。
そういう態度が、「愛する」ことの基本性質なのである。
かの芸術家・岡本太郎は「なんだこれは!?」が口癖であった。
彼も彼なりに分からないものを、分かろうと努力し続けたのだろう。
そのうち、その「なんだこれは!?」という分からないものを自分の味方につけて吸収し、他者に体感できるまでに自分の表現にして作品制作を極めた。
彼の「二極対立思想」や「縄文文化への造詣」、「沖縄文化の再考」などはその代表する概念だったろう。
彼はもともとそんなこと、分かっちゃいなかった。
それを分かろうとして、自分の一部にまで磨き上げたのである。
彼はそういう意味で、偉大な人間的芸術家だったのである。
分かるものを分かったって普通じゃないか。
分からないものをわかろうとする心が何よりも大事なのである。