芸術村近辺を親友と廻る
「GW芸術村8日目」
朝3時に起きて、お客様用に特大おにぎりを三つ作った。
私は、起きたてで調理の仕事である。
芸術村特製梅干し入りを一つに、シーチキンを二つ作った。
米は新潟県の「みずほの輝き」。
そして親友は4時に起きて、私の携帯に「今、起きたけど起きてる?」と連絡してきた。
「もう朝ごはんおにぎり作ってますよ。」と答え、外に出るとまだ真っ暗だった。
友人は自分の車の中にいた。
それから朝からどこに行こうかと打ち合わせて、5時に芸術村を出て明野に行った。
私は隣でガイドの仕事である。
明野に着くと、一望パノラマの南アルプス。
遠くには富士山がくっきり。
振り返れば八ヶ岳が鮮明にそそり立つ。
明野に着くと親友は作ったおにぎりを、ログハウス風の建物の前のチューリップの植え込みで食べた。
そして我々はそのまま行き当たりばったりで白州へ行くことにしたのである。
親友がお土産に何か名物を個人商店のようなところで買いたい、というので、「生信玄餅」で有名な「金精軒」台ヶ原店に向かうことにしたのである。
白州に着くと、道の駅に泊りトイレを済ました。
そこになんと俳人・山口素堂の読んだ「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」が、田中角栄の書で彫られた石碑があり、私はそれを背景に記念写真を友人に撮ってもらった。
ここ白州の道の駅には、透き通るような湧き水が湧いていおり、汲み水用に開放している水道があり、大きな焼酎ペットボトルを両手に詰めに来たおばさん客もいた。
金精軒の開店時間は調べたら午前9時であった。
我々は道の駅にいた頃はまだ朝の6時半だった。
どこかで時間を潰さなくては手持ち無沙汰だ。
そこで、近くに公園はないか調べて金精軒近くの「ほたる親水公園」というところに向かった。
親水公園では、大きな親鯉のぼりが涼風に棚引き、それを前景に甲斐駒ヶ岳が一望できた。
素晴らしく静かで落ち着く清潔な公園で、のどかな時間しか流れていない。
我々はそこで1時間半ほど楽しい会話に夢中になり、大自然の中、お互いに放念した。
金精軒で親友は目当ての生信玄餅を4箱も買い、私はといえば和菓子屋なのに洋風の冷凍パイをお土産に買った。
そして豆大福と金鍔を一個ずつ買い、親友に金鍔をあげた。
駐車場に停めた車に戻ると早速、それぞれに豆大福と金鍔を食し、舌鼓を打った。
その後友人は、午後を自然の中でぼーっとして過ごしたいというので、芸術村に戻った。
しかしそれから2.3時間、晴れ渡る中ぼーっとしてると退屈してきて、やっぱり瑞牆山に行きたいと言い出した。
そして急遽、瑞垣山自然公園目指してドライブとなったのである。
またガイドの仕事だ。
瑞牆山自然公園に着くと、我々以外誰もいない広大な芝生の上で寝っ転がって、写真や動画をお互いに撮った。
親友は芝生に寝そべり四肢を直線に伸ばし、漫画・キン肉マンに出てくる「マッスル・ローリング」なる技をごろごろ転がり披露し、それを私が撮影してあげた。
もうそれができただけで来た甲斐があったと、親友は大感激であった。
そしてまた芸術村に帰る。
さあ、私は休む暇もなく夕飯の「芸術村特製ジンギスカン」の用意だ。
今度は調理の仕事。
ナス・ピーマン・玉ねぎを切り出し、大量のもやしと味噌だれに漬けたラム肉を一緒に綺麗に盛り、横では「みずほの輝き」のご飯を炊いた。
友人は東家でタバコとコーヒーでくつろいでいる。
午後4時半になるとご飯がきれいに炊け、少し早い夕食を親友と共にした。
まずはビールで乾杯し、ホットプレートで野菜からジュージュー焼いていく。
焼いてはご飯と一緒に、具材を焼肉のタレに浸して食べていく。
「ああ、美味い。野菜をこんなふうに鉄板で焼いて食べることなんか滅多になかったよ。」
と、親友はしみじみ口にして食べてくれた。
じゃんじゃか焼いてどんどん食べていくわけだが、あっという間に最後のラム肉を焼く段階まで来た。
もやしで土手を作り、真ん中に肉を埋める。
それらを炒めてフタをしてしばらく蒸らす。
そうしてできたアツアツをご飯と一緒に掻き込む。
「あ~。ホント美味い!!!こんなに美味いもの食ったの久しぶりだよ。」
と友人は大感激であった。
そして満腹に膨れ上がると、2時間ばかりお互いのこれからの身の上話に花咲いた。
まあ、友人は株投資が大好きで、その話になると目を輝かす。
今の仕事を変えて、こういう田舎で暮らす豊かな生活もいいなあ、と真剣に話していた。
そして7時に我々は解散し、もう私は今日の激務で疲れ果て、寝床に着いたのだった。