鳥屋野潟に行く
「新潟旅行4日目:最終日は台風」
滝のような雨の中、上越新幹線「とき」で新潟から東京に帰る。
今日は台風2号が近付いていて朝から一日中雨だった。
新潟旅行の最終日は、事前に大雨だとわかっていたので遠出せず、ホテルの周辺で過ごすことに決めていた。
で、行ったのが「古町(ふるまち)」である。
新潟在住の親友・芸術家の川上さんが「港寿司」というカウンターで手渡しで食べられる高級寿司屋さんに連れて行ってくれるというので、妻ともども古町にバスで来たのである。
食事の予約時間までアーケード商店街の古町ドトールで3人で時間を過ごし、定刻間近になると、まるで京都の古都のような随分と趣のある裏通りを抜けて、「港寿司」へ向かった。
着くと、本当に高級料亭の風で、こんなに綺麗な寿司屋は初めてであった。
港寿司は歴史ある古町の寿司屋だが、近年改装したそうだ。
ウイスキー「白州」のハイボールを片手に、一貫一貫丁寧に握られてくるお寿司を、深く味わった。
メバル、甘エビ、いか、いくら、マグロ、アジ、たまご、かんぴょう巻き、の順で、一貫ずつ小ぶりの寿司が手渡しでカウンターに出てきた。
なんというか、当たり前というか、一つ一つの寿司ネタが違う。
口の中で歯応えがあるだけでなく、噛んだ後のそのプリプリの口の中でのばらけ方も上品なのだ。
これらのネタの中で一番気に入ったのは「甘エビ」であった。
見た目に細い漬け甘エビが横に三つ連なって太く一体になったものに、柚子胡椒が少量振られている。
ピリッと辛く、トロッと甘い、正反対のハーモニーが口の中で味わえた。
この寿司屋のすごいと思ったっところは、醤油の香りが入れた瞬間に漂った点だ。
大将さんが醤油を小皿に醤油差しでそれぞれに入れるのだが、入れた後醤油の香りがふわっと目の前を通り過ぎたのである。
寿司屋に入って、香る醤油というの初めて体験できた。
寿司屋で食した後、「ONIGIRIGUMI(おにぎり組)」という店で牡蠣が丸ごと一個入った「牡蠣おにぎり」とスパムが寿司ネタのように米の塊に海苔でゆわえつけてある「スパムおにぎり」なるものを土産に買った。
その後、今度は妻と鳥屋野潟(とやのがた)という潟に行こうとなり、一度新潟駅まで3人でバスで戻った。
川上さんは鳥屋野潟には来なかったが、新潟駅まで来てバスを一緒に探してくれた。
鳥屋野潟行きのバスは本数も少なく、探すのも大変だった。
そしてやっとこさバスがわかって乗り、目的地に向かった。
30分ほど雨の中進み、鳥屋野潟に臨したスポーツ公園という広大な公園で降りた。
この公園はとにかくだだっ広く、ちょっと立川昭和記念公園に入り口が似ているのに、巨大な野球ドームもあればサッカードームもあり、陸上競技場まで揃えていた。
で、目指すは鳥屋野潟。
スポーツ公園を抜けるとあったにはあったが、公園のキワから潟のキワまでの間、立ち入れない森があって近づけない。
少し遠目に森の隙間から覗ける潟の風景をちょびっとだけ楽しめた。
雨の中、屋根のある無料休憩所でモデル撮影している二人組の横を通り、トイレを済ました後帰りのバス停に向かった。
3時半にホテルに戻った。
休憩した後、5時前にチェックアウトし、帰りの新幹線までの時間に、ホテル付属の和食レストランで妻と共に夕飯を食べた。
カレイの煮付けや焼きそら豆、牛すじ、だし巻き卵などを、炊き立てご飯とハイボールで食べた。
本当は妻がテレビで見たB級グルメのナポリタンみたいな麺を食べたいと言っていたが、店の名前も場所もわからず、帰り際に右往左往して新幹線に乗り遅れたら大変なので、B級グルメはやめたのである。
それに散々一流の美味しいものを食べてきて、シメがB級というのが私は気に入らなかったのもある。
だから、ちゃんとA級の美味いもので旅が終われて良かったと思う。
そして、帰りは何のトラブルもなく、新幹線と山手線と田園都市線を乗り継ぎ、大雨も地元の駅に着いた頃には弱まり、自宅に安全に帰宅できた次第である。
夜10時半に家に着いた。
家に着いたと同時にカバンから荷物を全部出して当たり構わなく散乱させると、疲れてすぐ就寝した。
こうして、新潟旅行は、最後は台風が訪れたが、平和に幕を閉じたのであった。