· 

「芸術家を職に選んで」

横浜中華街:重慶飯店新館前にて

重慶飯店新館前ローズホテルロビーにて
重慶飯店新館前ローズホテルロビーにて

ESSAY

「芸術家を職に選んで」

 

 

たくさんのエネルギーを使い、全神経を「絵」に集中させるだけの人生。

それを良しとしたから、私は画家で芸術家になったのです。

絵の具で塗るのが仕事のプロフェッショナルの道です。

画家とは別名「ペインター」です。

言ってみれば、ペンキ塗り屋さんとやってる作業は同じです。

決まった画面に目当ての色を塗ります。

ペンキ塗り師と違うのは「絵画作品」として、頭を創造的に使って描くところですね。

 

世の中にはたくさんのプロフェッショナルの道があります。

医者は体を治し、法律家は人間を守り、政治家は世の中を変えます。

そして私は芸術家として自分を表現することを選びました。

総理大臣は、権力と言葉で仕事をします。

医者は、体の知識と、薬や手術で仕事をします。

弁護士は、六法全書と論理学、パフォーマンスで仕事をします。

そして芸術家の私は、自分の思想と、絵の具と筆で仕事をするのです。

 

そうやって聞くと、嗚呼なんたる身の低さだろうか、芸術家は。。。と観念してしまいそうです。

絵の具と筆で、世の中に太刀打ちしようとするなんて!!!

なんたるコケおどしでしょうか!?

そして、なんたる無謀さ。。。

なんたる無力さ。。。儚さ。。。

 

逆に、絵の具と筆で世の中と戦うなんてイキだねえ!とも思えます。

福沢諭吉なんて万年筆で戦ったじゃないの。

まあ、筆で戦った良い例がピカソです。

彼は共産党に傾倒していた頃「ゲルニカ」を描いて、戦争をする人間世界の不条理さを表現し、平和概念を戦後人類の思想にまで昇華させました。

 

私は芸術家を職業に選んで悔いはありません。

だって、世の中も自分も表現したいのですから。

 

【俳句】

・満天の キャンプ見上げる オリオンや

・ジャケットに 絵筆で挑む 芸術家

・ねえねえと 聞くこどもらの 息白し

・嗚呼往かん 星の入東風(いりごち) 都に野にと

・聖ザビエル祭 伴天連泳ぐ 江戸の果て