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「食器には現世への執着が残る」

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ESSAY

「食器には現世への執着が残る」



建国記念の日は、今まで手つかずにスルーしてきた面倒な片付けを実行しました。

アトリエの茶箪笥に眠る亡き祖母の食器類を綺麗さっぱり片付けたのです。


午前中、母と妻と私の3人で、私が司令を出しながら、リビングアトリエにある不要な食器類を全て片付け、茶箪笥の中身をスッキリさせました。

実は、全てまとめるとリサイクルショップを経営できるくらい、山のように使わない食器で部屋が溢れていたのです。

この食器類はとても高価で、一枚の皿がたとえば数万円するような、値を張るものばかりです。

生前祖母はお金持ちでにゼニに困らない身分でしたので、しょっちゅうデパートで高価な食器を買っては増やしておりました。

それを死後3年経った今になり、綺麗さっぱりやっと捨られたのです。

売れば良いという意見も妻からありましたが、売るためにまた煩わしい商売ごとをしたくなかったし、私は精神的にも綺麗さっぱり捨てたかったのです。


捨てる予定の食器類を、全て新聞紙とビニール袋で梱包し、外にある西の裏庭にまとめて移動させました。

この茶箪笥は、アトリエを広くするために廃棄してしまう予定です。

するとどうでしょう。。。?

アトリエ内に漂っていた重苦しい気配がすっかりと消えていきました。

おそらく食器には、亡くなった祖母の「現世への執着」が怨念として詰まっていたのかもしれません。

飲食を共にした食器には、食べた記憶がこびりついていますからね。

今まで一つ一つが高価な食器が、「祖母の物欲と食欲の象徴」として、まだリビングアトリエに山のように残っていたのだと思います。

この世に遺してしまった食器の整理が無事終わり、祖母の魂が浄化されのだと思います。


悪い気配が消えて、部屋がすっかり消毒されたように浄化されたことを、私の第六感で強く感じました。

食器を片しただけで、本当に綺麗な空気を感じます。

人の悪い魂は、飲食を共にする皿や食器に移り込み、宿ってしまうものなのだなあと、今回は深く実感したのでした。


【俳句】

・亡き御霊(みたま) 宿りし食器 春片す

・食欲や 器に宿る 春の宴

・肩付けは こころ清める 春さやか

・亡祖母の 春宴の憶 皿宿る

・皿奉行 楽しき春の 宴かな