YUTAKAの10分デッサン
『EDEN絵画教室』にて
モデル:森木愛琥
ESSAY
「弱いから美しい」
人間は誰しも弱いです。
強い人間だって一人じゃ1000人には敵いません。
弱いから人と協力して何かをするのです。
人類のあらゆる歴史な大きな偉業は皆、弱い人間が団結することで作られてきました。
つまり、人類は弱いからこそ、今日この日まで生きてこられたのです。
「弱いこと」は悪いことなのでしょうか?
いえ、悪くなどありません。
良い悪いではなく、「弱いことは美しい」のです。
弱さが持つ美しさを、考えたことがありますか?
弱いから綺麗なものをイメージしてみて下さい。
例えば、人間でなくても生まれたてのヒヨコをご想像下さい。
あんなに弱い命がありますでしょうか?
ピヨピヨ鳴いて、よちよちと親鶏の後を付いていくことしか出来ません。
ふわふわして可愛く、ツルッとして綺麗で、ピカピカになんの汚れもなく、真っ黄色の純真な赤ちゃんです。
こんなに美しい命がありますでしょうか?
このように自然界は、弱いものを美しく作っているのですよ。
でも逆に、「強いこと」だって美しいですよ。
強いなら強いなりの、筋の通った凛とした美しさがあります。
強いものしか持たない様々な力や権力、様々な思考回路、様々な富の形。
そういったものは、誰でもが真似できない洗練された確かな美しさがあります。
しかし、弱いことの持つ美しさとは、それとは違います。
押せば崩れてしまいそうな儚さ(はかなさ)や脆さ(もろさ)。
力もなく、才能もなく、何にも保証などされていない純真無垢な状態。
そういった潜在的な危うさが、逆に、命を高らかに主張して美しいのです。
【俳句】
・渡り往く 弱き翼の 冬鴎
・山萌えて そこはかとなく 散る紅葉
・捨案山子(すてがかし) 強き心で 役終える
・ヒヨコ起ち 弱く儚く 吼ゆ(ほゆ)命
・無垢なまま 真黄色(まきろ)なヒヨコ 親を追う